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ファルコン GY6 排気量アップに関する資料まとめ

150cc エンジン以上の排気量アップについて、まとめておきます。

まず、150cc 以上の GY6 エンジンには、大きく分けて 2パターンあります。
ひとつはエンジン型式が 157 で始まる 「 157 系 」 と、もうひとつは 161 で始まる 「 161系 」 です。

157 系は、150cc エンジンで、150cc タイプの中華スクーターやトライクに多く使用されています。

161 系は、「 通称 200cc 」 と呼ばれていたりしますが、実質 170cc ( 正確には 168.88cc )のエンジンです。 
マジェタイプの後2輪のトライクに使われていたり、エンジン単体で売られているのをよくヤフオク等で見かけます。

これらのほとんどは互換性が高く、エンジンそのものを載せ換えて排気量を上げることも可能ですが、
市販のキットを使ってエンジン自体のボアやストローク量を変えて排気量アップすることも可能です。


【 157 系 と、161 系 の排気量以外の違い 】

この 2つのエンジンの大きな違いは、シリンダースタッドボルトの軸間距離です。
157 系は、軸間距離が 約 54mm です。 
161 系は、軸間距離が 約 57mm になります。 



この寸法が違うため、シリンダー、シリンダーヘッド、ガスケット、ロッカーアームホルダーには互換性が無く 
それぞれ 157 系には 157 系用パーツを、161 系には 161 系用のパーツを使用する必要があります。 



【 排気量の計算式 】

排気量の計算は、「 ボア半径 x ボア半径 x 円周率 x ストローク量 x 気筒数 」 で計算できますが、
いちいちボアの半径で計算するのが面倒な場合は、以下の式で同様の結果になります。

排気量 = ( ボア直径 x ボア直径 x 円周率 x ストローク量 x 気筒数 ) ÷ 4000

なお、このページ内の排気量計算はこの式を使った計算で、円周率は 3.14で計算し、小数点2位より下を切り捨てた数値です。



【 157 系 の排気量アップ 】

157 系は、ノーマルのボアが 57.4mm、ストロークは 57.8mm で、排気量は 149.49cc です。

クランクケースの加工なしでは、最大で 58.5 mm のシリンダーが入り、排気量は 155.27cc まで上がります。
これにクランク交換でストロークアップすると最大で 66mm クランクが入り、排気量は 177.30cc です。
( 海外オークションでは、ケース加工なしで入る 60mm シリンダーというのも見かけます )

クランクケースの加工 ( シリンダースカート部が入る口径を 65.5mm 程度にボーリング加工 ) を行えば、
61mm シリンダーや、63mm シリンダーが入り、排気量は 61mm ならば 168.88cc 、63mm なら 180.08cc まで上がります。
更に上記と同様のストロークアップで 61mm ならば 192.78cc、63mm で  205.63cc になります。

ただし、現在は 63mm シリンダーが売られているのをあまり見かけないです。
( 海外オークション等では時折みかけます )



【 161 系 の排気量アップ 】

161 系は、ノーマルのボアが 61mm、ストロークは 57.8mm で、排気量は 168.88cc です。

こちらも 157 系と同様に 63mm シリンダー等は国内ではあまり見ないですね。。。
今のところボアアップを行う際は、海外オークション等か、輸入代行等で入手しなければなりません。

よく海外オークション等でみるのは 「 TAIDA 社製 」 のものです。
一般的なボアアップキットと比べると、結構まともと言うか、精度も良いほうです。
…ってゆーか、161 系エンジンに最初から組み込まれているシリンダーやピストンよりも作りが良くて精度も良い。

TAIDA 社製のボアアップキットは、63mm、65mm、66mm、67mm があります。( 61mm 以下や、62mm もあるが、ここでは割愛します )
それぞれ 63mm → 180.08cc 、65mm → 191.70cc 、66mm → 197.64cc 、67mm → 203.67cc になります。

※ クランクケースは、それぞれのキットに合わせてボーリング加工の必要あり。
また、大きいボアになるほどオイルラインを別途設ける必要があるかも。。。

さらにクランク交換でストロークアップすると最大で 66mm クランクが入ります。上記と同様に各ボアと組み合わせた場合、  
それぞれ 63mm → 205.63cc 、65mm → 218.89cc 、66mm → 225.68cc 、67mm → 232.57cc になります。



【 ロングクランクを使用する際の注意点 】

ロングクランクを使用する際はストロークが増えますので、そのままだとピストンが以前よりも上昇して圧縮比が極端に高くなったり、
ピストンとシリンダーヘッドがぶつかってエンジンが回らなくなってしまいます。

これを回避するにはシリンダーのベースガスケットの厚みを変えたり、スペーサーを入れて伸びた分のストロークを補わなければなりません。

 
↑ ストローク増量分のスペーサー ( 上の写真:左 ) と、厚みを変えて作ったベースガスケット ( 上の写真:右 )
これらを使用して伸びたストロークを補います。

ただし、ストロークだけ増えてもダメで、それに見合ったカムチェーンも必要です。
だいたい 6 〜 8mm ぐらいまでの増量なら、カムチェーンは 92 コマでイケると思います。( ノーマル状態は 90 コマ )
それ以上の場合は 94 コマチェーンになると思われます。
その場合、シリンダースタッドボルトも長いものに交換しないとシリンダーヘッドを固定出来なくなります。


↑ TAIDA 社製のロングスタットボルト。ロングクランクを入れる際の必需品。

なお、使用するロングクランクとピストンの組合せによっては、ピストンスカート部がクランクと接触してしまうため、
ピストンスカート部を削り落とさなければなりません。
また、コンロッドが通常よりも長くなっているタイプもあります。
長くなっている分、ピストンがクランクと接触する心配はありませんが、ピストン位置が上にずれてしまいますので
シリンダーベースガスケットの厚みを増したり、スペーサーを厚くする必要がでてきます。
このあたりは実際に組み合わせてみないと何とも言えません。



【 圧縮比の計算 】

排気量アップ後の圧縮比の計算する場合、まず 「 燃焼室の容量 」 がいくつなのか知ることが重要。

具体的なお話しとして 161 系の場合、ノーマル状態の圧縮比は 「 9.2 」 ということになっています。
一応それを信用して計算すると、燃焼室の容量は 「 20.59cc 」 です。

( 排気量 168.88 + 燃焼室容積 20.59 ) ÷ 燃焼室容積 20.59 = 圧縮比 9.20203…

※ 燃焼室容量とは、ヘッド側の容量と、ピストン上死点からシリンダートップまでの容量も含みます
( ピストンは、必ずしもシリンダーの上面まで上がってくるワケではないです。 )

仮に 63mmシリンダーを入れて排気量を増やした場合、そのままでは圧縮比が上がってしまいますので 
圧縮比をあまり変えたくない場合は、燃焼室の容量を排気量アップに見合った分だけ増やしてやらなければなりません。

ノーマル状態でピストンの上死点がシリンダートップから 1.2mm ほど下の位置だった場合、
排気量アップ後はシリンダーベースガスケットの厚みを増やして、ピストンがもっと下の位置にさがるようにします。 
例えば 0.3mm ほどベースガスケットを足して、シリンダートップから 1.5mm 下がった位置が上死点になるようにすると、

↓ 61mm シリンダーだった時のシリンダー内の燃焼室容量
( 3.14 x 61 x 61 x 1.2 ) ÷ 4000 = 3.51cc
↓ 63mm シリンダーに交換後のシリンダー内の燃焼室容量
( 3.14 x 63 x 63 x 1.2 ) ÷ 4000 = 3.74cc
↓ 61mm と 63mm との差
3.74 - 3.51 = 0.23cc

↓ そしてベースガスケットで増えた分
( 3.14 x 63 x 63 x 0.3 ) ÷ 4000 = 0.93cc

↓ シリンダー交換 + ベースガスケットの厚み増量後の燃焼室容量
元の燃焼室 20.59 + 増量分 ( 0.23 + 0.93 ) = 21.75cc

↓ シリンダー交換 + ベースガスケットの厚み増量後の圧縮比
( 排気量 180.08 + 燃焼室容積 21.75 ) ÷ 燃焼室容積 21.75 = 圧縮比 9.2795…

だいたい元の圧縮比に近い数値になりましたね (^^ゞ



【 ボア x ストローク 排気量 早見表 】

   ストローク量
 ボア径 ↓ 57.8mm 60.0mm 60.8mm 61.4mm 64.4mm 66.0mm
57.4mm 149.49cc 155.18cc 157.25cc 158.80cc 166.56cc 170.70cc
58.5mm 155.27cc 161.18cc 163.33cc 164.94cc 173.00cc 177.30cc
61.0mm 168.88cc 175.25cc 177.59cc 179.34cc 188.11cc 192.78cc
63.0mm 180.08cc 186.93cc 189.43cc 191.30cc 200.64cc 205.63cc
65.0mm 191.70cc 198.99cc 201.65cc 203.64cc 213.59cc 218.89cc
66.0mm 197.64cc 205.16cc 207.90cc 209.95cc 220.21cc 225.68cc
67.0mm 203.67cc 211.43cc 214.25cc 216.36cc 226.93cc 232.57cc

 
ストロークの限界は 66mm ですね。
これ以上は、長く作ったシリンダーがないと無理です。。。( シリンダースカート下からピストンが出る量が増えて危険 ) 
ある程度、耐久性を考えて余裕をもったお薦め排気量アップは、161 系でボア 63mm x ストローク 64.4mm の 200.64cc かな。。。 
ちょうど 200cc だしね。 




記事掲載日 2014/10/11
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